会社の事業内容を決める

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事業目的の設定とその重要性

起業を志す多くの人が軽視しがちな要素のひとつが「会社の事業内容」、すなわち事業目的の設定です。
これは単なる「やりたいこと」のリストではなく、会社の活動範囲を法的に規定する重要な要素であり、 定款に必ず記載しなければならない絶対的記載事項でもあります。
更に、会社の登記簿謄本にも記載され、日本全国の誰もが閲覧可能です。
つまり、会社の顔とも言える存在であり、この一文が会社の将来を決定づけると言っても過言ではありません。

1. なぜ事業目的を明確にする必要があるのか?

会社の事業目的は、単なる書類上の記載事項ではありません。
その設定が曖昧であったり、必要な事業が含まれていなかったりすると、後に大きな支障をきたすことがあります。

  • 行政の許認可が必要な業種では、目的に正確な文言が含まれていないと許可が下りない。
  • 銀行で法人口座を開設する際、目的が不明確だと審査に時間がかかり、場合によっては拒否される。
  • 投資家からの資金調達においても、事業目的が明瞭でない企業は信頼を得にくい。

このように、第三者が見ても納得できる事業目的を設定することが、企業の信用を得る第一歩となります。

2. 事業目的の設定で意識すべきポイント

事業目的を定める際には、以下の点を意識する必要があります。

  • 会社の中核となる事業を明記する:
    メイン事業を冒頭に明記し、会社のアイデンティティを示す。
    例:IT企業なら「ソフトウェア開発」「システム構築」
  • 将来的に展開したい事業も含める:
    新規事業のたびに定款変更を行うのは非効率。可能性のある事業はあらかじめ記載しておく。
  • 包括的な表現を用いる:
    具体的すぎると制約になる。
    例:「ECサイトの運営」ではなく「電子商取引に関連する事業」
  • 「前各号に附帯する一切の業務」を入れる:
    関連事業を包括的にカバーできる常套句。定款変更なしに周辺業務へ拡張可能。

3. IT企業における事業目的の具体例

以下は、IT企業が定款に記載する典型的な事業目的例です。

  • コンピュータソフトウェア及びハードウェアの企画、開発、設計、製造、販売、保守、リース、賃貸及び輸出入並びにそれらに関するコンサルティング業務
  • インターネットを利用した各種情報提供サービス及び情報収集サービス
  • EC(電子商取引)サイトの企画、制作、運営及び管理
  • コールセンター業務(電話受信・発信業務)
  • IT機器及び通信システムの開発、設計、製造、販売、保守及びレンタル業務
  • デジタルコンテンツの制作、配信及び販売
  • 前各号に附帯する一切の業務

このように、事業目的を明確かつ広範に設定することで、将来的な事業展開にも柔軟に対応できます。

4. 事業目的を設定する際の注意点

  • 許認可が必要な業種:
    人材派遣業や宅建業など、文言が正しくないと許認可が下りない場合がある。必ず専門家の助言を受ける。
  • 違法性のある事業はNG:
    公序良俗に反する事業は当然不可。風俗関連など制約の多い業種も慎重に検討する必要がある。
  • 有資格者が必要な業種:
    弁護士業務、会計士業務など資格必須の業種は、正確な法的表現が求められる。
    例:「税理士法に基づく税理士業務」

5. まとめ ― 事業目的は成長戦略の第一歩

事業目的は単なる「会社のやることリスト」ではなく、会社の成長戦略そのものです。
最初の一文が、銀行や投資家、取引先に与える印象を左右し、会社の命運を握ると言っても過言ではありません。

起業段階でしっかりと計画を練り、将来を見据えた事業目的を設定することで、スムーズな経営のスタートを切ることができます。
事業目的は、会社の方向性を決定づける「最初の一歩」です。